Sunday 15 September 2013

How to 'Off the Road'



ジャック・ケルアックの「路上(On the Road)」ほど、洒落た雑貨屋のオブジェとして、見かける機会の多い本は無い。

雑貨屋のディスプレイを担当する人が、その古びたペーパーバックを置く本当の理由を僕は知らないし、そもそも語る権利が無い。

というのも、原書を買ったものの、その独特の文体と文章が理解出来ず、2ページも読み終わらないうちに放り出したから。



けれども、ブラジルのウォルター・サレス監督が、'On the Road'を撮ると聞いて、僕の胸は騒いだ。

それは、'On the Road'という作品に、というよりも(何せ、2ページも読んでいない)、彼がまた、ロード・ムービーを撮ることへの期待感からだった。

若き日のチェ・ゲバラを描いたサレス監督の作品「モーターサイクル・ダイアリーズ」は、’ロード・ムービー’という一つのジャンルには、とても収まりきらない力があった。

それはきっと、一人のアルゼンチンの医学生が、中南米を旅する中で、貧困や社会の矛盾を目にし、大きく成長していく過程が、美しい映像と共に描かれているからではないだろうか。



'On the Road'は、ジャック・ケルアック自身が、友人などと連れ立って1940年代後半から50年代初頭にかけて、アメリカ大陸を横断した際の出来事を綴った私小説。

「ここではない、何処かへ」という欲求と、何処かにあるかもしれない「真実」を追い求める欲望。

物語は、起承転結も無く、旅道中の出来事を淡々と描く。

描かれるのは、ジャズ、セックス、マリファナ・・・

物語の半ばに差し掛かる頃、僕は気が付き始める。

「あぁ、彼らは、路上から抜け出るきっかけを探しているのだな」と。

そう、'On the Road'は、如何にして'Off the Road'するか、という物語であったのだ。




Japan Times 誌のレビューが、この映画の全てを物語っている。

'Nothing happens in 'On the Road' but everything'

そう、この映画には、全てが詰まっている。

http://www.ontheroad-movie.jp/