Sunday 29 May 2011

まぁいいか。

商品自体よりも、商品を売るお店に惹かれて買物をする、なんてときがある。

本や雑誌なんかはその典型で、コンビニに並んでいるときは買う気にならずとも、雰囲気のある本屋の店内で眺めていると、ついつい買ってしまう時がある。

僕にとって、吉祥寺のバウス・シアターという映画館は、そういう本屋さんと似ているところがある。

単館系の映画が封切されて数ヶ月経つと、「ひょこひょこひょこ」とバウスに現れ、僕のような会員に対して1000円で上映してくれる。


サム・メンデス監督の「お家をさがそう」という作品は、他の映画館で上映されていたことすら知らなかった。

けれども、『数ヶ月すると子供が生まれてくる予定の30代カップルが、「ここではないどこか」を探して北米中を放浪する』という荒筋を読んだら、何だか親近感が沸いてきた。

http://www.ddp-movie.jp/ouchi/index.html

「1800円なら絶対に見ないけれども、1000円ならまぁいいか」

そう思い、土曜日のレイト・ショーに向かった。

そこには、こんなご時勢に、単館系の良い作品を上映し続けてくれるバウス・シアターへの感謝の気持ちも入っていた。



作品自体は、特別面白い訳でもなく、はたまた、特別つまらない訳でもなかった。

まさしく、「1000円ならまぁいいか」。

作品よりも、サウンド・トラックが気になった。

Alexi Murdochというフォーク・シンガーの唄う'all my days'が、家路に着く間、頭の中をずっと流れていた。


Sunday 8 May 2011

coming back



「5人目のビートルズ」ことスチュワート・サトクリフを描いた映画「バック・ビート」を見たのは、中学生の頃であった。

音楽よりも絵画を描くことに喜びを見つけ、ビートルズを脱退したアウトサイダーを演じたスティーブン・ドーフは、それはそれはカッコよかった。

スターの座を約束されていた筈の彼が、その後、これといった作品に出演しなくなったのは不思議であった。

その後のキャリアが、当時同様にスターであったジョニー・デップやブラッド・ピットのようにはいかなかった理由は、知る由も無い。

ソフィア・コッポラ監督の「somewhere」で、自身を投影するような役者の主人公を演じている彼を久しぶりに見た。当然のように、彼は既に若くなく、髪の毛も薄くなっていた。

けれども、彼の醸し出す雰囲気は、若さに勝る渋さが備わっていたように思う。

http://www.somewhere-movie.jp/index.html