Sunday 26 February 2012

Alaska

まだ学生だった20歳前後の頃、雑誌「SWITCH」を通して、写真家・星野道夫氏のことを知った。

アラスカの自然と原住民に強く惹かれた彼は、大学を卒業後、アラスカに移住し写真家になる。

残念ながら、僕が彼を知る数年前、彼はアラスカの荒野で熊に襲われ亡くなっていた。

大自然を写した写真以上に、僕が惹かれたのは彼の文章だった。

そして、彼が残した文章の多くを、アラスカ原住民に関する物語が占めていた。



生前、星野氏と親交が深かったアラスカ先住民・クリンギット族の語り部であるボブ・サム氏のイベント「beyond the stories」が、「SWITCH」が運営するカフェ・「Rainy Day Bookstore & Cafe」で行われた。

写真家・赤坂友昭氏によるアラスカ、カナダそして東北における写真のスライド・ショー、女優・鶴田真由氏によるボブ・サム作、谷川俊太郎訳の「かぜがおうちをみつけるまで」の朗読、そしてボブ自身による2つの物語の朗読で構成されたイベント。

赤坂氏の繊細な写真、鶴田氏の抑揚の利いた朗読共に良かったが、やはりボブが英語で語りかけるパートが、強く心に響いた。ボブは、近くに座っていた僕の目を度々見つめながら物語を進めた。



イベントの終わりに、ボブに質問を投げ掛けた。

「あなたが、これらの物語を作る上でインスパイアーさせる物は何ですか」と。

「僕の物語の多くは、先祖達が伝えてくれたものだ。日本にも、素晴らしい文化・食べ物・自然がある。どうか、それらを大事にしてください。」



「何故、アラスカやカナダを撮り続けるのですか」

イベントが終了後、赤坂さんに尋ねた。

「やっぱり、彼ら(原住民)の声を伝え続けることが役目だと思っているんで」



そう、きっと赤坂さんも、星野さんの意志を引き継いだのだろう。


http://www.michio-hoshino.com/

http://www.akasakatomoaki.net/

http://www.switch-pub.co.jp/rainyday/

Sunday 5 February 2012

Begginers




Air(エール)のプロモーション・ビデオなんかを手掛けたグラフィック・デザイナーのマイク・ミルズ。

彼の初長編作品「サムサッカー」は、高校生になっても指しゃぶり(thumsuck)することをやめられない主人公を描いた不思議な作品だった。


そのミルズ、次の作品に選んだテーマは、「父親の死」だった。

妻を亡くした75歳の父が、「実は僕はゲイなんだ」とカミング・アウト。

洋服の趣味を変え、若いボーイフレンドを作り、残された人生を謳歌し始める。

そんな父親の姿を目にし、恋に臆病だった主人公が一歩足を踏み出す。


「サムサッカー」と同様、物語の中で、これといった大きな事件は起きない。

けれども、ミルズ自身のイラストがところどころに挿入される他、映像はセンスフル。

主人公のユアン・マクレガーの演技を筆頭に、心温まる作品であった。

http://www.jinsei-beginners.com/