Sunday 22 August 2010

野暮ったさと美しさ

野暮ったい。保守的。白人音楽。

近年、ノラ・ジョーンズやジェシー・ハリスなんかがお洒落にアレンジしたお陰で、少しずつ変わりつつあるのかもしれないけれども、カントリー・ミュージックに対して僕らが持つイメージ(偏見)は根強い気がする。

ジェフ・ブリッジス演じるカントリー・ミュージシャンの姿を描いた映画「クレイジー・ハート」を観終わった後も、その印象が変わることはなかった。

かつて一世を風靡したものの、酒に溺れ、地方でのステージなどで何とか生計を立てている主人公。自分がかつて音楽を教えた若手歌手の前座に呼ばれる、という屈辱も受け入れながら、恋をし、再生の道を探る・・・

音楽とプロレスという違いはあるにせよ、扱っているテーマはミッキー・ロークの「レスラー」に似ている。
これといった大きな物語の展開も無い。

けれども、さもすればカントリー・ミュージック同様に「野暮ったく」なってもおかしくないこの映画に光を挿し込んでいるのが、映像である。公演のために車で各地を移動する主人公の姿と共に、アメリカ南部の雄大な自然を描き出す。旅がテーマではないはずなのに、観客はこの映画にどこかロード・ムービーのような開放感を味わう。

物語は決してハッピー・エンディングとは言えないのだけれども、最後のシーンで映し出されるコリン・ファレル演じる教え子の野外コンサート会場の美しさといったら。

カントリー・ミュージックに対する僕のイメージは、今後も変わることがないかもしれない。けれども、ラジオなどでカントリー・ミュージックを聴いたら、この映画の映像の美しさを思い出すことはあるかもしれない。

そして、そのような美しくも厳しい土地で生活をしている人間(カントリー・ミュージックを愛する人々)に対するイメージも、少しは変わり得るのかもしれない。

http://movies.foxjapan.com/crazyheart/

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