カナダという国の一番の美徳は、「違い」に対して寛容であることだと思う。
カナダのフランス語圏・ケベック州を舞台とした映画「灼熱の魂」を見ながら、そんなことを改めて思った。
中東からの移民である母が亡くなり、双子の娘と息子に遺書が遺される。
中には、「会ったことのない父と兄に、手紙を渡しなさい」と記されており、娘と息子は母の祖国を初めて訪れる。
子供達は旅を通して、母が決して語ろうとしなかった過去を少しずつ知るようになる。
それは、内戦が日常化した母の祖国における、あまりにも哀しい現実であり・・・
全編を通してエネルギーが溢れている本作は、アカデミー賞の外国語部門にノミネートされた他、カナダ国内の映画賞を総なめにしたという。
「戯曲」を基にした「映画」である以上、本作のようにドラマティックな過去を持つカナダ人移民は、そう多くないはずだ。
けれども、多かれ少なかれ、痛みを抱えて祖国を離れた彼らを受け入れてきたカナダという国の寛容性は、一体どこから産まれるのか。
僕は思いを巡らせずにはいられない。
そして、カナダと対照的に「違い」に対してあまりに不寛容な僕らは、一体何を恐れているのだろうか。
http://shakunetsu-movie.com/pc/
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