Monday 2 January 2012
イノウエ君
小学生の頃に属していたサッカー少年団に、イノウエ君というチームメイトがいた。
3兄弟の末っ子である彼は、兄から譲り受けたという洋服なんかを、小学生ながらにいつもオシャレに着こなしていた。
そのイノウエ君がある日、「兄ちゃんから貰った」というナイキ社製のサッカー・スパイクを持って現れた。
今でこそ、サッカー界のスーパースターの大半がナイキ社と契約しているが、そもそもナイキ社がサッカー業界に本腰を入れたのは90年代半ば以降。
「アディダスとプーマは憧れのブランドだけれども、現実的に買えるのはアシックス、ミズノ、ヤスダ」
そんな時代に、イノウエ君はナイキ社製のスパイクを持ってきたのだ。
イノウエ君が履くそのスパイクは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でマイケル・J・フォックスが履いているナイキ社製スニーカーの如く、僕の目には光輝いて見えた。
元旦に実家へ帰り、新聞を読んでいたら、面白い記事を見つけた。
2011年に話題となった「ウォール街占拠」
社会格差の拡大や、あまりにも大きくなりすぎた金融業界への反発などから発したこの運動を提案した、カナダ人のカレ・ラースンという人のインタビュー記事であった。
彼は、Adbuster(Ad=広告、Buster=退治する人)という、メディアにおける広告活動を批判する雑誌の編集者であり、「ウォール街占拠」以外にも、「Buy Nothing Christmas(クリスマス商戦に乗っかるな)」などのキャンペーンを展開している。
今に始まったことではないが、ナイキやギャップなどの大企業は、物品の生産を海外に移している。
そのこと自体は悪ではないが、多くの企業は何次にも及ぶ下請け企業に生産を丸投げし、生産者を搾取している。
しかし、現在のメディアはこのような大企業のスポンサー料で賄われており、労働搾取の問題なんかを批判することは、あまりない。
これって、何かに似てないですか?
そう、東京電力がメディアとタグを組み、「原子力は必要」という「洗脳」を僕らにしてきたことと一緒。
カナダの公共放送CBCはNHKとは異なり、番組の間にコマーシャルを流している。
Adbusterは、近年大規模な石油開発を続けているカナダの政策を批判するCMを作り、CBCに放送を依頼したところ、断られたという。スポンサー料を支払うにもかかわらず。
僕はまだ、Adbusterに対する確固とした意見を持ち合わせていない。
今後、雑誌を読んでみるなりして、彼らの行動を吟味してみたい。
イノウエ君のナイキ社製スパイクに対して抱いた羨望のような感情。
それが、本当に人の心を豊かにするのだろうか・・・
http://www.adbusters.org/
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
No comments:
Post a Comment