Saturday 11 September 2010

随分長いこと、恐らく学生時代から、「AXIS」という隔月発売の雑誌をチェックしている。

雑誌の割には安くない値段であること、ゆっくり読む時間がなかなか取れないことなどから、毎号購入しているわけではないのだけれども、本屋に新しい号が並ぶたびに、果たして今回は買うか否かを随分迷う。

職人の作る伝統工芸品などから、僕の専門分野である土木まで、ものづくりという幅広いフィールドにおける「デザイン」を扱うこの雑誌に、僕が惹かれる理由は何であろうか。


20歳くらいの頃から、「果たして自分は何がしたいのか、何が向いているのか」ということを、随分悩み続けた。

左右の脳の機能を説明するときのように、自分の中に、左右に広がるx軸のようなものがあるとしたら、僕のその悩みは、その左右の軸を激しく行ったり来たりしていたように思う。

それは恐らく、学者である父親(極左)と、芸術家肌の母親(極右)との間で、「果たして自分は、どちらに似ているのか」という悩みであったようにも思う。


随分悩み続けた結果、自分自身でも信じられないような堅い職業に、今は就いている。


そのこと自体に後悔は無いのだけれども、休みの日に美術や映画、「AXIS」のような雑誌を人並み以上に求めてしまうのは、きっと現在の職業と無関係ではない。

自分の中にあるx軸のバランスを取っているのだと思う。


学者にも、芸術家にもなり切れない自分自身を、歯痒く思うことはよくある。


けれども、工学の専門書を読むことと、ウディ・アレンの恋愛映画を観ることを、同じくらい楽しめる
今の自分は、いい具合にバランスが取れてきたのかなぁ、なんて思ったりもする。

http://www.axisinc.co.jp/publishing/

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