Tuesday 28 September 2010

カメラの功罪

その割りには、大しておしゃれじゃないよね。

と言われてしまえばその通りなのだけれど、学生時代、よく雑誌「装苑」を読んでいた。

なぜ男性誌を読まないの、とたまに聞かれたのだけれども、直接的に商品で読者に訴えかけてくるファッション誌を読むよりも、自分の感性を磨くことの出来る雑誌を読む方が大事なのではないだろうか。
当時持っていた感覚は、いまでも変わらない。

その「装苑」に、KIKIさんというモデルがたまに出ていた。

その魔女のようにエキゾチックな名前と、ミステリアスな風貌が当時から少し気になっていた。

けれども、彼女の本当の魅力は、名前ではなく、はたまたビジュアルでもなく、その知性と感性にあることを知ったのは、たまたま本屋で手に取った「Love Architecture」という本を読んだからであった。

ムサビ建築科出身の彼女が、国内外を問わず、自らの好みの建物・ランドスケープについて記したこの本は、文章と写真があまりに魅力的で、以来、頻繁に友人に勧めたり、貸したりしている。

一般的に、日本の建築本は、英語をそのままカタカナにしただけの横文字を無闇に並べたものが多い。「そのマテリアルはコンテンポラリーで・・・」なんて文章を読んでも、分かったようで分からない。

その点、この「Love~」は専門用語や横文字を極力控えていて、僕のような素人にも分かりやすい。
文章を読んでみて、非常に頭の良い人なのだな、と感じたのを覚えている。

それ以来、彼女が記すブログなんかもチェックするようになった。



自分のブログを読み返してみると、自らの内面と向き合っているものが多い。

それは勿論、性格的なこともあるだろうが、カメラを持ち歩かない、という習性も影響しているように思う。

写真を見ること自体は好きで、お気に入りの写真家も何人かいるくらいなのだが、日常の風景・出来事を写真に収める、という習慣がない。

それは、カメラを持ち歩いていると、それが良い写真になるかどうか、はたまた構図的にはどうなんだろうか。そんなことを考え始めてしまうのではないか、という怖れのようなものが僕の中にあるからだと思う。

その感覚は、実は「装苑」を読んでいた理由と似ていて、写真という物質を残すことよりも、カメラに収まりきらない感覚を心に蓄積したい。そんな気持ちが、自分の中にあるように感じる。


そんな感覚を持ちながらKIKIさんのブログを開くと、色鮮やかな日常及び旅先での風景を切り取った、素敵な写真が多く貼ってある。そして、写真を撮る、ということの魅力を感じさせてくれる。

やっぱり、答えはない。

http://blog.honeyee.com/kiki/



ご存知の方も多いと思いますが、今日から3ヶ月間、旅に出ます。

何年かぶりで手に取ったデジタルカメラと共に、僕にとって非日常の生活を、ブログという媒体に残せたらと思います。

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