Saturday 6 August 2011

マツ

マツダ・ナオキが倒れた。

その一報を知ったのは、夏季休暇で訪れていた海外のB & B で、パソコンを開いたときであった。



高さ、速さ、強さ、そして判断能力。

ディフェンダーとしての能力を全て持ち合わせていた彼は、日本サッカー史上に残る好選手であった。

彼は日本のパオロ・マルディーニであった。

加えて彼には、恵まれた容姿と明るいキャラクターという天性のギフトが備わっていた。



スタジアムやテレビを通して、彼のプレーは数多く見てきたけれども、一番印象に残っているのは、2001年にパリで行われたフランス代表との親善試合である。

雨が降りしきるサンドニ・スタジアムで、当時の世界チャンピオン・フランスに日本は0-5と大敗した。

日本代表メンバーの中で、フランス代表と互角に戦っていたのは、当時イタリアで活躍していたナカタだけであった。

砂質土が多い日本とは異なり、ヨーロッパの地盤の多くは粘性土であり、幼い頃よりそのような環境でプレーをしているヨーロッパの選手と比べると、日本の選手は足腰の筋肉が弱いとされている。

当日の大雨で、まるで田んぼのように泥まみれのスタジアムで、マツダ・ナオキはジダンやアンリといった世界最高峰のプレーヤーに、面白いようにクルクルと振り回されていた。

あのマツダでも、ここまでやられるのか・・・

その光景は、僕には衝撃であった。



もう、マツダ・ナオキのプレーを見ることは出来ない。

けれども、僕の心の中には、マリノスのサポーター達が彼を鼓舞する歌声が、これからもきっと流れ続ける。

「ナ~オ~キ、ナ~オ~キ」

と。

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