Tuesday 19 October 2010

変化

@Adelaide (Australia)

この地に二週間いることは最初から分かっていたのだけれども。

現地に着いたら色々感じることもあるだろうし、と思って最初の何泊かしか宿を予約していなかった。

最初に泊まったホテルは、ダウンタウンから歩いて2分くらいのところにあり、 特段不満も無かったので、延長したい旨、従業員に伝えると、
「予約で埋まってるから無理だ」
と言われてしまった。


今回の研修は、宿代と食事代など全て含めて、一日当たりの日当を貰っている。

だから、どこに泊まるかは、個人の裁量。

二週間くらいの滞在だと、家具付きアパートも借りられないので、食事は外食が中心になる。
オーストラリアは思った以上に物価が高いので、完全に予算オーバーの生活だった。

ウェブでホテル探し。
もう、これ以上安いホテルは、無い。

しょうがなく、バックパッカーが集う地域に行き、宿で値段を聞いてみる。
「今は閑散期だから、一週間100ドルでいいよ」
100ドル。いまのホテルの一泊分より安い・・・

「部屋を見せてもらっていいですか」と頼み、中に入る。
薄暗い部屋に二段ベッドが並ぶ、典型的なドミトリーだった。

ちょっと考えて、また電話するよ。

店主にそう伝え、宿を後にした。

少し考えたが、この宿に泊まることは、いまの自分にはリスクが伴うと思った。
それに、他のお客さんも、僕の境遇に違和感を感じることになるだろう。

結局、アデレードの高級住宅地にあるホテルに泊まることにした。

ウェブで見る限り、そこが一番まともに思えたから。


ドミトリーで生活している人を見たら、学生時代に卒業旅行という名目で一人、
スペインのアンダルシア地方を旅した頃を思い出した。

彼らの境遇が、当時の僕のそれと似たようなものであることが、そうさせたのだろうけれども。
アデレードが、山に囲まれた乾燥した地域、ということも影響しているように思う。

アンダルシアには、タパスバーという素晴らしい食文化がある。
ところが、学生が月々に使えるクレジット・カードの料金は、恐ろしく低く設定されている、
という事実を知らなかった僕は、カードが機能停止になると、無一文に近い状態になりたじろいだ。
しょうがなく、Mのマークの付いたお店で毎日、ハンバーガーの単品を頼む、
という無残な食生活を送った。

それでも、あんなに充実した旅は、それまで無かったし、恐らくこれからも無い。
そう思える。

当時と比べて、今の僕は何が変わったのだろう。

それなりに経験をつみ、得たものもある代わりに、無意識のうちに無くしてしまったものも
あると思う。

けれども、本質的には何も変わらないのかな、と思う。


旅の主目的が、「観光をする」ことから、「レポートを書く」ことに代わったけれども。


僕の心の中にある、本当の旅の目的が、何かを感じ取ること、であることに変わりはないのだから。

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