アデレードでのある日。
夕飯を食べに、行きつけのレストランへ行ったときのこと。
注文して料理が運ばれてくるまでの間、何もすることが無かったので、
お店に置いてある経済新聞を読み始めた。
「全くもって職業病だよね」なんて皮肉を言われるかもしれないけれども。
普段、新聞で経済欄はあまり見ない。株価が、とか、ジャスダックが、などと言われても
チンプンカンプンであることと、世界で起きている話題を知る方が、単純に面白いから。
そんな僕でも理解できるような記事を探し、何となく気になったコラムを読み始める。
農業、ワイン、経済、環境。
色々な視点から、国が取るべき施策を提案する興味深い内容だった。
アデレードがある南オーストラリア州の主産業は農業。特にワインが有名である。
だから、スーパーに行くと、地元で取られた野菜やらワインやらが沢山。
ところが、ここはオーストラリア一、乾燥した地域。
昔から、農業用水はダムに頼っていたのだけれども、国内を襲った近年の大干ばつで、農家は壊滅的な被害を被った。
そこで、「これ以上、河川水には頼れない」という政府の決断で、下水を処理した
再生水を灌漑用水として用いることを決めた経緯がある。
実は、僕の今回の研修のテーマが、この下水の再生水。
だから、農家への灌漑方法なんかを、現場に連れて行って見させて貰った。
ところで、そのコラムの趣旨はこんな感じだった。
「近年の好景気で、オーストラリアドルが強い。
その性で、ワインの輸出量は減る見通し。
ワイン産業は、国内では飽和状態であることに加えて、
干ばつの影響から、農家への水利権を減らすことも決まっている。
温暖化の影響も強まるだろう。つまり、ワインはもう、斜陽産業である。
政府は、今後、より伸びる見込みのある産業に、
資金を投入すべきである。」
読んでいて、そのコラムニストが持つ様々な視点と、自分の興味のある分野、
それと今回の研修内容、それらが、僕の中で見事に一点に集約
されたような感覚を味わった
「うゎ~、これは面白いな」
そう思った。
こんな経済記事なら、毎日読みます。
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