Wednesday 8 December 2010

Jesus


Pictures in Orlando

世の中で、ワニほどおっかない動物は、いないと思う。

実際には、虎やライオンなんかのほうが、よっぽど怖いのかもしれないけれども。

なんてったって、ワニのビジュアルの恐ろしさといったら、無い。

ポロシャツで有名な、あのフランスのブランドは、よく「ワニ」なんかで成功したもんだ、と思う。



オーランド市職員のVicは、ポーランド系アメリカ人である。

これまでに対応してくれた人々と特段変わらず、真摯に対応してもらったのだけれども。

特段、話が盛り上がったわけでもなく、特段、気まずい雰囲気に陥ったわけでもなかった。

ふと、「週末はどうしてるんだ?」と聞かれた。

土日も変わらず図書館に行く予定であったが、他にこれといった予定が無い旨を伝えた。

「じゃぁ、うちに来ないか?」

特段、断る理由は無かった。



5人も子供がいる。

そう聞いていたので、予想はしていたのだけれども、Vicの家族は敬虔なクリスチャンだった。

食事の前に、お祈りがある。

仏教徒の僕も、最後に「アーメン」と言うべきなのか、よく分からなかった。

敬虔なクリスチャンだからといって、特に困るわけではないのだけれども。

言葉には気を付けなくちゃ、と常に念じていた。

数あるスラングの中で、一番危険なのは、間違いなく「ジーザス」だった。

'Jesus Christ'、つまり「イエス・キリスト」の英語読みが「ジーザス・クライスト」であり。

いまでは、英語を母語とする多くの人が、日常で「ジーザス」などと叫んでいるが。

人によって、特にキリスト教の熱心な信者の前で言うことが、彼らにとって神への冒瀆に感じる可能性があることぐらいは、僕でも知っていた。

'Don't say Jesus'

Vicの家で、このフレーズを、呪文のように何回も唱えた。



3日後。

Vicに加え、同じく市職員でバイオロジーの専門家Paulに連れられ、別の現場に。

オーランドでは、処理した下水を人工の湿地に一月ほど滞留させて、動植物に浄化してもらうという、非常にユニークな事業を行っている。

その湿地内には、200種以上の鳥や鹿などに加え、あろうことか、ワニまで生息している。

車に乗りながら見た、'alligator'という種類のそのワニくんは、それはそれは恐ろしいビジュアルをしていた。

一通り見学を終えた後、見学者を受け入れる部屋に案内された。

その部屋の中には、いくつかの小さな水槽があり、湿地内にいるいくつかの動物が飼われていた。

そして、あろうことか、ワニまでいた。

おもむろにPaulが、水槽の中にいる、体長30cmほどのそのワニくんを掴み、僕に向かって差し出した。

不意を突かれた僕が、大きな声で叫んだ言葉は、言うまでもない。

'Jesus!!!!!'

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