Wednesday 1 December 2010

Sunset Park


@ Orlando (Florida)

夜な夜な読んでいたPaul Austerの新刊'Sunset Park'。

日本だと、新刊が出てから文庫化されるまで2~3年掛かってしまうのだけれども。

北米における小説は、半年も待てば廉価なペーパーバック版が売りに出される。

だから、これまでハードカバーの小説なんて、買ったことがなかった。

ところが、11月始めに出版されたその新刊は、舞台が不況に見舞われている南フロリダの都市。

いま滞在しているオーランドはフロリダ中部の都市なのだけれども、2週間前までいたセント・ピーターズバーグは、丁度、南フロリダに位置していた。

何だか、いろいろなタイミングが揃っていたので、読み始めた。


主人公は、読書家で非常に聡明な若者なのだけれども、ある事故をきっかけに大学を辞め、世間と距離を置いた生活をするようになった。家族にも連絡をせず、アメリカ中を転々とするのだけれども、フロリダで出会った若い女性と恋に落ち・・・


世間から自分をかけ離すきっかけとなった経緯の描写が、僕には少し弱いような印象を受けたけれども。

物語の構成は、さすがにうまかった。


読み終わって思ったことは。

僕自身も、この主人公のように、自分の世界を作り上げることが好きなのだけれども。

そうすることによって、世間から隔離された場所に自分を置くことが正しい選択のように思えてしまうときが、たまにある。

世間と距離を置くことで、幸せになれればよいのだろうけれども、ネガティブな感情を一切持たずに、そのような生活を送ることは、きっと物凄く難しい。

けれども、こんな世の中だから。

生活の一部において、世間と一定の距離をとることは、絶対に不可欠。

やっぱり、全てはバランスなのだろうか。

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